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「私のこだわり人物伝3・4月号 白洲正子/柳田国男」(NHK知るを楽しむテキスト)

白洲正子さんは、ここ十年くらい幾冊かを愛読していて尊敬する方。
柳田国男さんは、読みたくてもとっつき難く、知りたくて知らない人。
この二人のことを1冊で読むことの出来るのは大変興味深かったです。
そして、今回ほど語り手役の方に左右される読書も稀でした。
今までテキストとして愛読していたシリーズ。
今回は、「読み物」としてじっくり味わえたように感じます。

白洲さんの方は、私が大好きでムック本まで購入しているため特に新しい発見はなかったのですが、生前の彼女を知る細川元首相が語り手でした。
言ってしまうと失礼ですが、やはり相手が大きすぎて、さすがの細川さんも語るには役不足に感じてしまった・・・。
個人的な関わりは面白いのだけど、どこかしっくりこない。
正子さん本人が自伝を著して亡くなっているだけに、かもしれません。

柳田さんは、私が持っていた難解なイメージをいい意味で裏切らなかった。
語り手の詩人・吉増剛造さんの語りがもう素晴らしかった。
こっちはもうテキストでもなんでもなくて、柳田さんの深い心象風景一点に的を絞り、吉増さんの心の声とともに読み進めていく。
私は最初はどうにも馴染めなくて、こんなテキストがあっていいのか?と疑問に思うほどだったのだけど、ついには引き込まれてしまいました。
最後には自分の心の深い部分をじっと見つめるような感じに。
柳田さんの民俗学を知るのではなく、彼の本質を旅するような構成でした。
巻末の見開きたった2ページの岡谷公二さんの文章の方が、柳田さんの実質的な生き方をよほど簡潔に語っているのがまた面白かったです。

「語り手によってこんなにも趣を変える」
そんな楽しさを改めて思い知った今回の読書。
特に「人」を語る・読む、という場面は難しくも面白い。
心にひとつもらう、そんな体験をさせてもらいました。