青色図書館

2004年1月から2008年8月まで、 青の好きな私が綴った日々のあれこれと写真たち

*随筆・エッセイ

「そうか、もう君はいないのか」

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「そうか、もう君はいないのか」(城山三郎/新潮社/四六判変形/\1,260-)

泣きました。
書評を見てうるると来、新潮社のウェブ上の立ち読みですっかり魅了されてすぐさま購入。
期待以上の素敵な半生記にぐっときました。
でもだからと言って、「すてきよね」なんて言葉を簡単に使ってはいけないほど、城山さんと奥様の深い絆、その純粋で真っ直ぐな愛情が作品を包み込み、その底辺に流れる失われた半身の喪失感は澄み渡るほどの無垢なもの。

巻末に娘の紀子さんが綴っているのですが、本編を読んでそのままそちらに移ると、より一層泣けるのでした。
子供の想像以上に温かく深い絆で結ばれていた両親の姿。
とても柔らかい文章で心に沁みました。

帯の文章、「五十億の中でただ一人「おい」と呼べる妻へ」というのは、彼が妻を想って詠んだ詩から引用されています。
どうぞウェブで立ち読みしてみてください。
でもきっと真っ直ぐ本屋に走ってしまうだろうというくらい、愛に満ちたチャーミングな書き出しなんです。

本きっかけになった書評
新潮社「yomyom」のおススメの一冊
yomyomのメルマガは熟読してしまいます。
プロの編集さんがまた上手に薦めてくれるんで、すっごく読みたくなっちゃうんですよね。。
今回の城山さんの書評がまた良かった。
前回の小野さんの書評も素晴らしくて、即買いしてしまいました…

図書館の名前に恥じ続けている今日この頃。
久しぶりに本が登場。
いや、本は本当にたくさん買い続けているんですが、どうしても文章を大事に綴りたくて、そうなると時間がかかり、そうは言ってもそんなに時間が取れなかったりで(言い訳)。
こんなちょっとした文章書くのに一時間。
もうちょっと文章能力成長したいものです。

ハワイの本

私にとって、海外旅行は観光も良いとは思うんだけど、現地の生の生活が一番興味深いし、時間が経つとそちらの方の思い出がクローズアップします。
いわゆるガイド本は、確かに便利なんだろうけれど、本当の意味では役に立たないし、あまり興味が湧きません。
どっちかというと、帰国した今のほうが興味深く手に取ってみたり(笑
あ~ここを回ったな~、とか、地図を改めて見直したりとか。

今回の旅にあたり、初めてハワイについて、それも古い歴史や文化について知りたいなぁと思い、ハワイの人がハワイの精神を伝えてくれそうな入門編として、以下の2冊を購入しました。

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◆ディープでふしぎなハワイのおはなし
文:TAMARA PO'ILANI ELDRIDGE/絵:小田島さよ/ゴマブックス?/1,470円
カメハメハ1世の血を受け継ぐ彼女の紡ぐお話は、彼女や彼女の肉親たちが実際に体験したり伝承しているハワイの物語。ハワイの歴史・宗教・言葉・音楽・踊り・伝説・迷信と、チャプターを分けて語られる話はまさにハワイの入門編に相応しいと思う。これを読んで、私はもっとハワイを深く知りたい!と思いました。

◆日々是布哇 アロハ・スピリットを伝える言葉
デブラ・F・サンダース=著/北山耕平=訳/長崎訓子=絵/太田出版/1,554円
本当に一日一語、日めくりカレンダーのように1月1日から始まる言葉たちの連なり。日本語、英語、イラストで一ページ。シンプルな作りの本自体から、生活に染みとおるような言葉をもらえます。その中の一つ。

2月26日
一度みつけてしまったものは もはやなくすことなどできぬ。
What is once found is never truly lost.

日本語と英語の中に横たわる、決して訳すことの出来ない雰囲気を私は楽しんでいます。
訳したはずの日本語だけが持つ雰囲気や、英語にしか含まれない雰囲気。
どちらが本当ということでなく、マナ(魂)を持つ言葉というものの存在を感じます。

キム・ソナが案内する「私の名前はキムサムスン」

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「キム・ソナが案内する「私の名前はキム・サムスン」」(朝日新聞社/?1,365-)

昨年紹介したキムサムスン。
DVD発売記念特番のプレゼントに応募したところ、なんと当たった!
懸賞系に当たったのって、久しぶり。
それも書籍小包を開けたらこの本が入っていて、他に何のコメントもなかったのも面白かった。
ビックリ箱みたい。

内容的には、写真も多く、キム・ソナの文章もしっかり書かれています。
全16話を、彼女の視点できっちり紹介してくれています。
ほとんど裏話的で、けっこう面白い。
例えば、第1話の男子トイレで大泣きシーンのマスカラ取れて真っ黒顔。
本人はそんな形相になってるなんて全く知らずに演技に没頭してたとか。
妄想飛び降り自殺シーンは、本当にクレーンで逆さ吊りにされ、頭に血が上って死ぬ思いだったとか・・・
こんな感じで撮影秘話を、各話ごとに注目ポイント、なんてプチコラム的なコメントも載せつつ、日本語が流暢な彼女らしい爆笑文章で綴っています。

ページ数は僅かですが、このドラマで一躍人気俳優の一員となった、ヒョン・ビン君のインタビューも収録されています。
なんか今の彼は髪も長くて髭も生やし、ちょっと別人ですが(個人的にすごく残念)。

全編見終わった人にとっては、ドラマを振り返りつつ楽しめる、とっても魅力的な本ですよ。

「此処彼処」

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川上弘美/日本経済新聞社/装丁・装画:吉富貴子/税込\1,365-

身の回りのことを短い文章にすっきりまとめて、こんなにも人を温かい場所へ運んでしまえる。そういう才能って素晴らしいと、私は常々思っている。
私は小説に比べて随筆やエッセイを手に取ることは極端に少ない。
本当に文章のうまい人、自分と波長が合っている人のものしか、全然楽しめないから。
作家によっては随筆しか読んでいない、なんて人もいたりして、かなり偏りがあるのだけれど。
女性で大好きなのは、白洲正子さん、幸田文さん、江國香織さん、銀色夏生さん・・・バラバラじゃないのって思います?

そんな訳で、川上弘美さんのエッセイは初めて。
でも、まずタイトルからぐらっと来ていて、これはもう私好み、私の心がほっとできるようなものに違いない!と勝手に決めつけ、去年出た時にすぐに購入し今まで温めていた。
温めがいがあったというか、その時の心が欲しているものが舞い降りてくると信じている私は(たとえそれが故意に温めていたものだとしても)、存分に読書時間を満喫した。

まず装丁がかわいらしく温かで素敵。
初出が日経の朝刊ということで、1月に始まり12月に終わるその運びもテンポが良くて楽しかった。
あとがきで川上さんも述べていたように、「具体的な場所の名を示す、ということは、つまり、私個人のことをはっきりと書くことなのだということを、この仕事によって教わった。」
そして私もこの言葉で感じ入った。
自分個人のことをはっきり書くことが、自分以外の人たちをあらゆる意味で幸福な場所に導くことが出来るということの素晴らしさを。
たとえ彼女が言うように彼女自身の想定範囲以外のことを読者が感じたとしても、その人にとって幸福な場所を想起させる装置となって働くことの素晴らしさ。
ちょっとオーバーかもしれないけれど、実際に読み手は自分にぴったりとくる書き手さんの身近な日常の文章で、温かな場所に連れて行ってもらえる。
そんなことに改めて感じ入り、そんな作家さんたちの存在に感謝する機会をもらえて。
もちろん川上さんの此処彼処にもふわり旅してきた次第です。

<この本の帯>
近所の川べりからマダガスカルの森まで。
いとおしく、懐かしい場所を、のびやかな筆致で辿る待望の連作エッセイ集。
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